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風に連れられ旅をする… 旅人 清火(さやか)の写真+言葉
by kazeture
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旅ノート

旅ノート_a0006008_15062943.jpeg

旅で思ったことを書いた本
「旅ノート」
できました!!

2000円で販売中です。

購入希望の方は僕まで。

コメントか、またはメール
hilltop_fire@yahoo.co.jp
でご連絡ください。

# by kazeture | 2023-12-12 15:03 | Comments(0)

旅の写真を展示します

旅の写真を展示します_a0006008_14364567.jpeg
旅の写真の展示しま〜す♪

大阪・淡路「旧ずぶ邸」にて

以下、ずぶ邸のみさきさんより:

.


ずぶぬれ オン・ザ・ロード


~旅の俳句と写真展~


.


およそ一年間の日本各地への旅の俳句と写真をならべてお見せし


土産物&土産物語でつくる小さな会を開き


2023年の夏至をおまつりしたいと思います。


.


2023年6月21日(水)~25日(日)

13時~18時


旧ずぶ邸 ギャラリー土間にて

https://zubunogakkou.hatenablog.com/


入場無料


喫茶オン・ザ・ロード開催予定♪


.


まったりした俳句(物語):やかまし みさき


ぼんやりした写真:岡 清火(おか さやか)


*期間中、在廊します


# by kazeture | 2023-06-19 14:35 | 写真 | Comments(0)

遠い場所から

遠い場所から_a0006008_14345701.jpg


最近、僕のブログ「カゼツレ」を読んでいたと、複数の人から言われた。


うれしい。



ひとりは、会ったことのない人なのだが


僕がモロッコのとある街について書いた記事に検索で行き当たり、


読んでくれていたようだ。



すごく遠い場所からその連絡が届いたような気がした。



(*このブログ「カゼツレ」をこうして今書いていますが、書くのは1年8ヶ月ぶりになります)





僕は、その街にいた自分を思い出す。


2015年、春。


スペインの南端から船に乗ってジブラルタル海峡を渡り、


アフリカ大陸モロッコに上陸した。


タンジェという街だ。


初めての大陸、初めての国、初めての街。


そこで僕は、いろんな感情を通り抜けた。


そして少々疲弊し、夕方に宿の部屋に入った。


シャワーを浴び、楽な服を着て、ベッドに寝転ぶ。


アイフォンを手にする。


そしてブログを書く。


写真を選び、言葉を選び、構成を考え、


試行錯誤しながら


その日見たもの、その日感じたことを


伝えようとする。





僕は異国の夜にひとりでいて、


だれかに伝えようとしていた。


届けようとしていた。


それしか僕にできることはなかった。


でもそれは僕にとってちいさな明かりのようなものだった。


届けるという行為は。




それが何年かの時を経て、日本の「だれか」に届いた。



 


僕はその、自分の「だれかに届け!」という気持ちを思い出した。


届くかどうかはわからない、それでもやりつづけていた。





このブログはそんな僕の旅先での気持ちの集積となっている。


自分にとって大事なものだ、ということに気づかされる。





また初心にかえって


文章を書いていこうと思う。



遠い場所から_a0006008_14365064.jpg


タンジェの宿の部屋の窓からの風景


窓から入ってくる街音を聞きながら


ブログを書き続けた


遠い場所から_a0006008_14371141.jpg


僕はおそらく


旅の中に見え隠れする


ちいさな明かりを伝えたくて


書いていたような気がする




どんな場所、どんな状況にも


明かりはあるんだということを


すくい上げようとしていた


んじゃないかと思う




インターネットの中でも


言葉によって人と人が


そういう明かりを受け渡したり


明かりで照らし合ったりすることは


可能だと信じて


これからも


ネットの海に言葉を放とう。





↓当時のブログ記事

「ハロー、タンジェ」2015.03.20.

https://kazeture.exblog.jp/21040098/


遠い場所から_a0006008_14374576.jpg

# by kazeture | 2021-01-29 14:33 | Comments(0)

歩こう

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# by kazeture | 2020-03-11 14:38 | Comments(0)

あんたはマレー系


あんたはマレー系_a0006008_13270118.jpeg





マレーシアのジョホールバルで出会ったMは僕に


「あんたは、マレー系やね」


と言った。



僕は25歳、Mは21歳だった。



1997年、春。


この時僕は、これからマレー半島を北上しようとしていた。


Mは一人でマレー半島を南下して来ていた。



その、逆方向に向けてすれ違う一瞬、僕らは交差した。




マレーシア南端、シンガポールのすぐ近くの港町ジョホールバルのバスターミナルにいると、向こうからパタパタと女の子が駆けて来て、話しかけてきた。


それがMだった。


兵庫・宝塚出身の、リュックを背負った小柄な旅人。




Mは情報を欲しがっていた。


僕は「地球の歩き方」を見せた。




僕らはバスターミナルの中にあるマレー料理店に入った。




Mは僕に


「いつもそんなに、ボーッとしてんの?」


と、きいた。


「うん」


「なんか、あんたは、マレー系やね」


「え?」


「中華系よりはマレー系やね」


「マレー系ってどういうこと?」


「すべてが反対やん。中華系とマレー系って。マレー系はゆったりのんびりしてるし、中華系はセカセカ、ギャアギャアしてる」


「はあ、そういうことか」




僕はただボーッとたたずんでることが多い。



マレー系と言われて、なんか嬉しかった。


僕もマレー系ののんびりムードは気に入ってた。





マレー半島にもともと住んでたのがマレー系住民で、あとから中国からやって来たのが中華系だ。


(マレーシアの人口比はマレー系6.5割、中華系2.5割、インド系1割で、多民族国家となっている)


今ではマレーシアの中で中華系が経済的な部分を握っていると言われる。


でも、そもそもマレー系の人たちには「受け容れる」性質があった。


だからこそ中華系の人たちはたくさん入って来れたし、のびのびできたし、また共存もできたのだ。


そんなマレー系に僕は似ているとMは言う。




「Mは?」


「うーん。どうやろ。わたしは中間かな。セカセカすることもあるし」





Mはタイとマレーシアが好きで、今日まで一ヶ月半、旅していた。


そしてこれからシンガポールに渡って三ヶ月、英語を勉強しようとしている。


三ヶ月間一人で、苦手な英語を、苦手なシンガポールで学ぶということを決断したのだ。


この目の前の小柄な21歳の女の子は。





「いよいよ来てしまったかと思うと怖いよ」


とMはぽつりと言った。


顔色が優れず、食事が進んでない。


本当に怖がってる。明日からの生活を。



Mは「逃げたくなかった」のだという。


苦手なことから。



アジアの旅が好きで、将来アジアのどこかで旅行や観光に関わる仕事をしたくて、


英語は苦手だけど、学びに来た。



シンガポールも苦手…というか、キライだった。 


だけどキライなままではいけないと思った。



自分以外に一人も日本人のいない環境に三ヶ月間自分を放り込み、自分を試す。



そしてこの時、今からバスに乗ってシンガポールに入るという、もうギリギリの刻限だったのだ。



僕は「こいつ、すごいな」と思った。


震えて怖がってるけど、それくらい怖いことに、たった一人で向かって行ってる。


すごい勇気の持ち主だ。



僕は彼女を応援する気持ちを持った。


何か言いたい。


でも何をどう言えばいいのか。



「そうか…」とだけ言って、


ただ一緒にバスの時間までをボーッと過ごした。





ふたりはバスターミナルで、それぞれが出発するバスを待っていた。 


行き先は逆。


そして、僕のバスが先に出ることになった。


僕らは路上で別れた。




「元気で頑張ってな」と僕は言った。


「よい旅を」とMは言った。




僕が乗り込むと、バスは動き出した。


Mが頭の上で手を振っている。


その姿はほかのバスに隠れ、見えなくなった。


その時バスが風船を踏み、「パァン!」と大きな音が鳴った。


暴発した祝砲のように。



勇敢な旅人の前途を祝すかのように。




ロータリーを周り、もう一度小さくMが見えた。


あいつはもう前を見つめ、歩き出していた。






あれから22年が経った。


今でもあのちびっこい女の子を「いちばん勇敢なヤツ」として思い出す。







# by kazeture | 2019-05-20 13:23 | 1997マレーシア | Comments(1)