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小鯵の煮干を求めて小鯵(コアジ)の煮干(ニボシ)が必要だ! ぼくには小鯵の煮干が必要。 さがしにいこう。 ぼくの父はインド・ダラムサラに建てた家の中で 日本に帰りゆくぼくに向かって言った。 「小鯵の煮干が必要なのだ」 と。 「そうか。わかった」 ぼくはダラムサラを離れ、デリーに着き、デジカメを盗まれ、台風にビクつき、飛行機内で奇病にかかりながら帰国した。 家でゴロゴロしつつ奇病を癒し、それからも やる気なし病、日本に馴染めないで症、ココワドコ?状態、時差ボケ、ひきこもり症候群、などなどにかかりながら なんとなくだらだらと3週間を過ごし、 ある昼さがり、立ち上がった。 「小鯵の煮干が要るのだ」 と。 海の魚が好きなのにヒマラヤ山中に住む父にとって、 小鯵の煮干は生命線なのである。 すみやかに手に入れ、インドに送るのだ。 「天満市場にあるだろう。小鯵の煮干は」 と父は言った。 大阪の天満(テンマ)というのは、なんか好きな場所だ。 天に満ちる。名前がいい。 そこには大阪天満宮(テンマングウ)という神社がある。 天神さんだ。 そして天神橋筋商店街というのが際限もなく続いている。 その一角に、天満駅がある。 ごちゃごちゃした下町エリアである。 JR環状線に乗り、大阪駅のとなりの天満駅に降り立った。 降り立つやいなや、「←天満市場」という表示を見つけた。 近いらしい。歩いて行く。 でかいビルの一階と地下一階が天満市場になっているようだ。 ちなみにここは昔、とんでもなくごちゃごちゃごみごみした戦後焼け跡派的マーケットだったらしい。きわめてアジア的な。 そのままにしといてほしかったが… とりあえずそのビルの中の市場へ。 ビルの中に市場が広がっていた。 八百屋、魚屋、乾物屋などがごちゃごちゃと並んでいる。 ハテ… 小鯵の煮干はどこ? とキョロキョロ歩いていると、 「煮干屋」があった。 小さいジャコから普通の煮干、そしてイワシの干したやつまで…サイズもさまざまな…煮干パラダイスだ! おばちゃんに 「小鯵の煮干あります?」ってきくと、 「あ、あるよ、それ」と指さす先には あった!! 小さい魚たちが干からびて大量に絡み合い重なりあい、あやしい光を放っている! 「これ一キロください!」 一キロで1790円だった。安いんやろなー。 ついに手に入れた。 えらく香ばしい。 その後ぼくは梅田のヨドバシカメラと本屋とネットカフェをうろついたのだが、 始終小鯵の匂いを放っていたはずである。 都会の真ん中で海の男を演出する私。 帰って一匹食べてみた。 めちゃくちゃ美味い! ではこれから送りまーす。 *ぽえむ「小鯵」* 荒波を越えてゆけ小鯵よ 箱の中で静かにして 決して ぜったいに 極悪インド人に見つかって かすめ取られるんじゃないぞ。
by kazeture
| 2009-08-13 12:18
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