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風に連れられ旅をする… 旅人 清火(さやか)の写真+言葉
by kazeture
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ベトナム南下

ラオスに続き、ベトナムにも初めて入国した。
ラオスとベトナムの国境で
ベトナムの闇両替人(女性)たちと会い、
ラオスの素朴な人柄とは違うものを感じた。
"この人の言葉は本当のことを言っていない"
というのを感じた。
それは今回旅したインドネシア、マレーシア、タイ、ラオスの
どこでも感じたことのない感覚だった。

ラオスからのローカルバスがベトナムのフエという町に着いた。
バスを降りるやいなやバイクタクシーのおっさんにつかまった。
''宿まで行ってやるよ"
"いくら?"
"8万ドン"
"そりゃ高いやろ。5万ドンにしてくれ"
"だめだ、8万だ"
"ん-、じゃ、6万"
"しかたない、7万にしてやろう"
バスで疲労してたのでそれで手を打った。
"よっしゃ、じゃ、7万な!"
で、宿に着いた。
"はいよ"と、7万ドン渡す。
"いや、8万だ。もう1万よこせ"
"は? 7万って言ったやろ?"
ぼくはそのまま宿に入った。
おっさんはしばらくぶつぶつ言っていたがやがて去った。
こういうやつはイヤだ。

ベトナムに着いたときの印象というのはこんな感じだったが、
"ベトナムって、、、"とか、"ベトナム人って、、、"と、
判断をくだしてしまうのはまだ避けようと思った。
そういうのは国を去る時に控えめにやればよい。

さて、フエで泊まった宿には日本人がいっぱい泊まっていた。
ぼくはこれまでバリ島でもペナンでもバンコクでも
日本人とはほとんどまともに会っていない。
"日本から離れたい"と思って旅に出た、という事情も
かかわっていると思う。
が、この宿では好むと好まざるとにかかわらず日本人と話すことになった。
ぼくはほぼ2カ月ぶりくらいに日本語を話した。
でも、日本人旅行者と話す、
というのはけっこう面白かった。
友達もできた。
彼らは"日本人"というより、
"旅という同じ時間を有している、たまたま同じ言葉を話す人"
という感じだった。
旅という同じ体験を同時にしてる人と語ることは
おもしろいのだ。
なにもわからずに泊まった宿だったが、
行ってよかったと思う。

フエはベトナムの古い王朝があった町で、
ぼくは旧市街やお堀端などの散策を楽しんだ。
ラオスと同じくフランスパンサンドはおいしい。
あと、フォーという麺もおいしいと思う。
ごはんの上におかずをのせた定食のようなのもよく見かけるので
米好きなぼくにはうれしい。

フエに3泊して、すこし南にあるホイアンという町に
移動した。
ここはその昔、何百年か前に日本人がいっぱい住んでて
(最盛期には1000人)日本人街を作ってたというところ。
古い町並みを歩くのはおもしろかった。
ただ、そこに明確な"日本"をかぎとるのは難しかった。
なにしろ、中国と日本の文化は源が同じで、似ているから。

そこではフエでも会った日本人で世界一周をしてる人や、
その人の知人で、これまた世界一周をしてる人と知り合い、
宿のひとつの部屋をシェアするという経験をした。
ぼくはこれまでほとんどシングルルームに泊まっていた。
しかしシェアすると安くなる。
ひとりきりの時間はないが、話したりして、
それもまたおもしろい。
自分の感覚にしたがってこれからもそういうのも
混ぜていってもいいなと思った。
(基本的にぼくはひとりで好きなようにしたがる傾向がある)
出会った人たち、ありがとう。
きっとまたどこかの街角でばったり会うでしょう。

ホイアンに2泊すると、さらに南下しようと思った。
そして、宿で注文して南部の海辺の町、ニャチャンへ行く
"スリーピングバス"のチケットを取った。
このスリーピングバスというのが
とてつもないしろものだったのだ。

ぼくが乗り込んだ時点で
最後尾の"恐怖の5人詰め寝台"しか残っていなかった。
この恐怖の5人詰め寝台というのは12年前に中国でも体験したが、
おそろしいしろものである。
バス最後尾の2段ベッドが5人で並んで寝るようになっているのだ。
ここに5人並ぶと、ぎゅうぎゅう詰めである。
そして今回ぼくの両どなりにはおっさん西洋人とおばちゃん西洋人が
陣取っていた。
ふたりともでかく、太っている。
そのふたりの西洋人とぼくが密着している。
これは、たいへんだ。
左どなりのおっさんからは加齢臭のようなものがする。
おっさんは狭い狭いと文句を言ったりせきをしたり
うなったりしている。
右側のおばちゃんは尻の肉がぶよぶよしているのが伝わってくる。
また、おばちゃんの腕とぼくの腕が触れ合い、
あばちゃんの腕の産毛をサワサワと感じるという状況である。

特におっさんは距離をとりたいタイプだった。が、
密着している。
人は、眠るときには内と外との境界があいまいになり、ひろがる。
だからどんなふうに眠るかというのは重要だ。
と普段思っているぼくにとって
突然ふりかかった難行苦行だった。
いったい、なんのために、、、?
これで12時間を行くのだ。

おっさんが身をよじり、"プウ?"と屁をした。
死ぬほど臭い。
ぼくの意識は真っ白にホワイトアウトした。
ウンコの臭いだ。くさいウンコの。
ぼくは巨大なウンコのかたまりに身をぴったりくっつけてるような
気がした。

ふと、目を開ける。
と、外が明るい。夜が明けている。
海だ。空だ。朝焼けだ。
とてつもなくきれいな色が世界を覆っている。
うおおおお、、、、。
バスは海辺の道端に休んでいた。
おっさんもおばちゃんも静かに寝息をたてている。
このためだったのか。
難行苦行の果てに見た海の朝焼けは
とてもきれいに見えたのだ。

そうして海辺の町、ニャチャンに着いた。
ここは、よい。
南国の海辺ののんきな気配が漂っている。
物価も安い。
2泊することにした。
ぼくはいまニャチャンのホテルのパソコンの前にいる。
明日、ホーチミンシティへと向かう。

日本では桜が咲いているのだろうか。
by kazeture | 2009-03-31 14:04 | Comments(2)
Commented by よう at 2009-04-02 09:22 x
やほー
あははは!!! うんこ添い寝に、感動の朝焼け!!
めっちゃうけました。元気そうで安心。
桜が咲き始めたよ。来週は花見でーす。
Commented by kazeture at 2009-08-11 16:59
元気に添い寝したよー。

お花見、いいなあ。
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