風に連れられ旅をする… 旅人 清火(さやか)の写真+言葉
by kazeture
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激痛4日目 痛みピーク、入院へ

2017年5月5日
ネパール・ベシサハールにて

一睡もできなかった。

右足先が痛すぎて、一睡もできない。
痛みが増している…。
前夜は、痛みを感じなくなる体勢をかろうじて見つけ、4時間ほど眠れた。
それが、できなくなった。
どんな体勢を取っても痛い。

これは、まずい。ヤバい。
と、思い始めた。

実際、一睡もしてなくて、体力的にもキツい。

うーん。

僕はその時、自分の状態をFacebookに投稿していた。
「凍傷だと思って、高度を下げ、足湯などで対処している」と。

すると、カナダにいる犬ゾリ師のFさんという友達が
「凍傷ではないと思います。凍傷ではない何かですので、至急医者に行ってください。私は軽度の凍傷になったことがありますが、様子が違います」とコメントしてきた。

Fさんは自転車で地球を一周した後でカナダに住み着いて犬ゾリに乗ってる、という経験豊富な人で、
その人の言葉には重みを感じた。

そうか、凍傷ではない…。
「凍傷ではない何か」
そう言われたら、そんな気がしてきた。
それで、医者に行こうと思った。

宿の主人バスーさんに言った。
「病院に行きたいんです」と。
バスーさんは数秒間考えたのち「わかりました」と言った。
そもそも、バスーさんは一番初めの段階で病院行きを勧めてくれていた。
で、バスーさんは「今日の午前中に行きましょう。私が連れて行きます」と言ってくれた。
「はい。ありがとうございます!」と僕は言った。

部屋で準備して待っていると、バスーさんが現れた。
「行きましょう」
「はい」
僕は水筒、手ぬぐい、パスポート、財布、ノートなどを入れた小さなカバンをぶら下げ、杖を一歩持って出かけた。
出かけた、と言っても、全然歩けない。
バスーさんと奥さんが両脇を支えてくれた。
で、宿の玄関から出る。
光がまぶしい。
僕がバスーさんに支えられてヨロヨロしているのを見て、
まわりのネパール人たちが近寄り、何かをワーワー言ってくる。
バスーさんが答えてる。
「病院に行くんだよ」と言ってるんだろう。
バスーさんは、自分のバイクに僕を乗せようとしていた。
バイクにまたがるのも、骨が折れる。
と、その時、立派な四輪駆動車に乗った男が「オレの車に乗れ。ポカラのでっかい病院まで連れてってやるよ」と言ってきた。
車は良いのだが、ポカラまでは行かなくていい。
すぐそこ(5分くらい)のベシサハールの病院まで、バスーさんと一緒にその車で送ってもらった。有料で。

そうやって、這々の態(ほうほうのてい)で病院に着いた。
平屋建ての小さな病院だ。
医師は2人、看護婦は4人くらい。
で、その医師2人(おっさん&若手)が全患者を診るから、「◯◯科」とかはない。
地域のおばあちゃんやら何やら、患者はけっこういる。
ベッドに寝かされる。
待っていたら、ほどなく診察が始まった。
「急患」のような扱いになっていたのかもしれない。
ドクターは「ワンピース」という漫画のTシャツを着た、めがね、もじゃもじゃ髪で色黒のネパールファンキー親父だ。
ドクターに聴診器を当てられて問診(バスーさんが通訳してくれた)される。
それから検温、心電図、レントゲン、血液検査、検尿。というふうに検査が進んだ。

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検温すると、熱があったようである。
「華氏103度」と言われた。
(あとで調べると、華氏103度は摂氏39度だった)
39度熱があったら気づきそうなものだが、僕は痛みにのたうち回っていて、それどころじゃなかったのだ。

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そして、検査結果が出た。
もじゃもじゃドクターは「セルライトだよ!」と言った。
へ?セルライト?
なにそれ?

「痛みの原因は、セルライト!!」

そして、
「インジェクショーン!!」と言って若手のイケメン医師が登場。
注射をおしりにズブリ!!と刺された。
うぎあああ!!

そうしたら…そのあと…
痛みが引いてきた。
あれっ??
と、不思議だった。
あんなに痛かったのに。
消えていく…??
奇跡のような気がした。
突然春風が吹いてきたかのような心地よさ。
ものすごく嬉しい。
しあわせって、こういうことなんだね。

痛み止めの注射。効くのですねぇ。
注射はインジェクションっていうんですねぇ。

インジェクショーン!!
(ロッキーが「エイドリアーン!!」と叫ぶ感じで叫びましょう。感極まってる表現です)

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痛みが引いた時の風景

そして、もじゃもじゃドクターは
「痛み引いてきた?」と言いながら僕の右足の土踏まずのあたりを
プニプニプニプーニ!!と突っつき、
「ふむ、プニプニしてるなぁ…!」という結論に至り、
「入院です!!」と言った。
ぽへぁ、入院かぁ。
「今すぐ入院治療します!」
ぼへぁ〜、今すぐかぁ。
「セルライト、入院治療で治るアルね。オーケーィ?」とかなんとか。
そうですか…。
たぶん一泊とのこと。
ドミトリーが一泊600円、個室が1500円ってことで、僕はドミトリーを選んだ。

そして、僕のネパール入院ライフが始まった。

「セルライトって何?」と思ったけど、この病院にはWi-Fi電波はなく、ネットで調べることはできない。
(入院中ずっとネットは無し。期せずして「隔絶」されることになった)

また、「セルライト」と告げられた時に通訳役のバスーさんはいなかったので、詳しくわからなかった。

セルライトって何だかわからないし、全般的に何がなんだかわからないけど、ゆだねるしかない。
実際、インジェクションで痛みは引いたし、治療の方向性は間違ってないってことだろう。
ただ僕がわからないだけで、わからないというのは不安はあるけど、今ここで、まかせる以外にどうしようもないのだ。

で、入院者用の大部屋に移る。車椅子に乗せられて移動。

5人部屋だった。

ほかに、子供や中学生くらいの人がベッドにいて、点滴を受けたりしている。

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ベッドに横たわり、しばらくすると、看護婦さんが来た。
そして、僕の腕の血管に針を差し込み、テープで貼り付ける。
血管に針が固定されたままになった。

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針には開閉式のフタが付いている。
そのフタを開け、注射器のようなものを装着し、液体をじわじわと僕の血管の中に入れてゆく。
気持ち悪い。
もともと平常通り動いている血管に突如何らかの液体を注入するのだから、なんか変な感じがしても仕方がないだろう。
ま、とにかく、それが治療だ。ということだ。
その注射を1日に2回打ち、飲み薬を服用。
あとは安静にしている。
それが僕のネパール入院ライフだった。

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病室の窓
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窓からの眺め
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時々もじゃ男がきて、僕の足裏をプニプニ押して行く。

バスーさんがりんご、バナナ、フルーツジュースを買って来てくれた。
これプラス水のペットボトルも枕元にあるし、完璧だ。

さらにバスーさんは18時にはダルバート(ネパール定食)も持って来てくれるという。自分の宿の台所から。
至れり尽くせりだ。

この病院では、食事は出ない。
ので、入院者にはまわりの家族などが食べ物を持って来るようだ。

バスーさんはほんとうに親切で、とても助かる。
なんか、ものを頼みやすい雰囲気がある。
僕は異国でひとりで入院してるわけだし、バスーさんのような人が付いていてくれて、ほんとうに良かった。

夕方。
足の痛みはなくなった(静止していれば)。
足指は、ピコピコ動く。
熱は引き、気分は良い。
食欲も戻った。

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バスーさんが持ってきてくれたダルバートを、おいしく食べた。

トイレに行く時、立って、歩こうとすると、まだ足裏は痛む。
それでも、歩けるようになった。

かなり、全体的に普通の状態に近づいている。
「普通の状態」のありがたみをかみしめる。

眠り…
痛みのない眠り。
が、久しぶりに訪れた。

痛みも寒さも不快感も、何もないよ。



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by kazeture | 2017-07-20 14:49 | ネパール2017 | Comments(0)
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